家族葬の服装マナー完全ガイド｜喪主・親族・参列者別の服装例付き

家族葬は近年主流になりつつある葬儀形式ですが、家族や親しい人だけで執り行うからこそ、服装マナーについて「どこまで正式にすべきなのか」と悩む方が多くいらっしゃいます。一般の葬儀と同様に喪服を着るべきか、それとも略式の服装で良いのかという迷いは、喪主・親族・参列者それぞれの立場で異なります。家族葬においても、基本的には喪服が推奨されており、故人や遺族への敬意を示すためにも服装マナーを守ることが大切です。この記事では、家族葬における服装の基本ルールから、喪主・親族・参列者それぞれの立場に応じた具体的な服装例、季節や年齢、宗派による違い、さらには持ち物やアクセサリーまで、家族葬の服装に関するあらゆる疑問を網羅的に解説します。

家族葬での服装の基本ルール

家族葬であっても、服装マナーの基本は一般の葬儀と大きく変わりません。故人を偲び、遺族に寄り添う気持ちを服装で表現することが重要です。ここでは、家族葬における服装の基本的な考え方と選び方について解説します。喪服の種類や平服を指定された場合の判断基準、さらに直葬や火葬式での服装の考え方まで、まずは全体像を理解しましょう。

喪服の種類と選び方

喪服には正喪服・準喪服・略喪服の3種類があり、家族葬では準喪服が最も一般的に選ばれます。正喪服は喪主や親族が着用する最も格式の高い服装で、男性はモーニングコートや黒紋付き羽織袴、女性は五つ紋付きの着物や黒無地のワンピース・スーツが該当します。準喪服は男性の場合は黒無地のシングル・ダブルスーツ、女性の場合は黒無地のアンサンブルやワンピース、パンツスーツなどで、参列者にも広く用いられます。略喪服はダークグレーや紺などの地味な色のスーツやワンピースで、通夜や弔問の際に選ばれることがありますが、家族葬の告別式では準喪服以上が望ましいとされています。

服装を選ぶ際には、色は黒無地が基本で、光沢のある素材や派手な装飾、目立つボタンは避けます。素材はウールやポリエステルなどの落ち着いたものを選び、透け感のあるものや薄手すぎるものは避けましょう。また、露出の多いデザインやカジュアルすぎる服装は、家族葬であっても不適切です。清潔感があり、全体的に控えめで上品な印象を与える服装を心がけることが大切です。

平服と言われたときの判断基準

家族葬の案内状や連絡の中で「平服でお越しください」と記載されることがありますが、この場合の平服は普段着という意味ではありません。平服とは略喪服を指し、黒や濃紺、ダークグレーなどの地味な色の服装で、カジュアルな服装は避けるべきです。男性であれば黒や濃紺のビジネススーツに白シャツ、黒または地味な色のネクタイを合わせます。女性であれば黒や濃紺のワンピース、スーツ、アンサンブルなどを選び、アクセサリーは控えめにします。

平服指定があっても、できる限り黒無地の準喪服を着用するのが無難です。遺族が「平服で」と伝える背景には、参列者に気を遣わせたくないという配慮がありますが、実際には多くの参列者が喪服を着用しています。自分だけが明るい色の服装で参列してしまうと、周囲から浮いてしまい、かえって失礼になる可能性があるため、迷ったときは喪服を選ぶことをおすすめします。地域や家族の慣習によっても異なるため、事前に他の参列者や遺族に確認するのも良いでしょう。

直葬や火葬式での服装の考え方

直葬や火葬式は通夜や告別式を行わず、火葬のみを執り行う形式で、家族葬の中でも最も簡素な葬儀スタイルです。この場合でも、基本的には喪服または準喪服を着用するのがマナーとされています。火葬式であっても故人との最後のお別れの場であり、礼節を重んじる意味で正装することが望ましいとされています。特に喪主や親族は、たとえ少人数の火葬式であっても喪服を着用することで、故人への敬意を示すことができます。

ただし、ごく親しい家族のみで火葬を行う場合や、遺族から「平服で」と明確に指示された場合には、地味な色の服装でも問題ありません。男性は黒や紺のスーツ、女性は黒や紺のワンピースやパンツスーツなど、控えめで清潔感のある服装を選びます。いずれにしても、派手な色や柄、カジュアルすぎる服装は避け、故人を偲ぶ気持ちを服装で表現することが大切です。火葬場は屋外に出る場面もあるため、季節に応じた上着や羽織を用意しておくと良いでしょう。

家族葬の喪主と遺族の服装

家族葬において、喪主と遺族は参列者を迎える立場であり、服装にも最も高い格式が求められます。喪主は故人の代表として葬儀を執り行う役割を担うため、正喪服または準喪服の中でも格式の高い服装を選ぶことが基本です。遺族も同様に、故人との関係性や立場に応じて適切な喪服を選び、参列者に対して失礼のない装いを心がける必要があります。ここでは、喪主と遺族それぞれの服装について、男性・女性別に具体的なポイントを解説します。

喪主の男性の服装と小物

喪主を務める男性の服装は、正喪服が最も格式が高く望ましいとされています。正喪服には、モーニングコートまたは黒の五つ紋付き羽織袴があります。洋装の場合はモーニングコートに白シャツ、黒またはグレーのベスト、縦縞のコールパンツを合わせ、ネクタイは黒無地を選びます。和装の場合は黒羽二重の五つ紋付き羽織袴を着用し、足袋は白、草履は黒を合わせます。ただし、家族葬では準喪服である黒無地のシングルまたはダブルのスーツでも問題ないとされることが多く、地域や家族の慣習によって選択します。

シャツは必ず白無地のレギュラーカラーを選び、ネクタイは黒無地で光沢のないものを使用します。靴は黒の内羽根式のストレートチップまたはプレーントゥで、金具や装飾のないシンプルなデザインが基本です。靴下も黒無地を選びます。アクセサリーは結婚指輪以外は着けず、腕時計も極力外すか、つける場合は黒の革ベルトでシンプルなデザインのものを選びます。ポケットチーフやカフスボタンなどの装飾品は避け、全体として控えめで清潔感のある装いを心がけましょう。

喪主の女性の服装と小物

喪主を務める女性の正喪服は、黒無地の五つ紋付き着物または黒無地のアンサンブル、ワンピース、スーツが該当します。和装の場合は黒無地の染め抜き五つ紋付きに黒の帯と帯揚げ、帯締めを合わせ、足袋は白、草履は黒を選びます。洋装の場合は、黒無地で光沢のない素材のワンピースやアンサンブル、パンツスーツを選び、スカート丈は膝が隠れる程度の長さが望ましいです。夏場でも半袖や五分袖が基本で、ノースリーブは避け、袖付きのジャケットやボレロを羽織ります。

ストッキングは黒の無地で、透けすぎない30デニール程度のものを選びます。靴は黒のパンプスで、ヒールは3〜5cm程度の低めで太めのものが歩きやすく、長時間の葬儀にも適しています。金具や装飾のないシンプルなデザインを選びましょう。バッグは黒の布製で、光沢や金具のないものを選び、A4サイズ程度の大きさがあると香典や数珠などを入れるのに便利です。アクセサリーは結婚指輪と一連の真珠または黒曜石のネックレス、イヤリングのみとし、髪型はまとめ髪にして黒のヘアゴムやピンで固定します。メイクは控えめにし、ネイルは派手なデザインや色は避け、透明かベージュ系にしましょう。

遺族としての立場で気をつける点

喪主以外の遺族も、故人との関係性が近い場合は正喪服または準喪服を着用するのが一般的です。配偶者や子、兄弟姉妹などの近親者は、喪主と同格またはそれに準じる服装を選び、参列者よりも格式の高い装いを心がけます。男性は黒無地のスーツに白シャツ、黒ネクタイ、黒靴を合わせ、女性は黒無地のアンサンブルやワンピース、パンツスーツに黒のストッキングと黒のパンプスを合わせます。遺族の中でも、孫や甥姪など関係性がやや遠い場合は、準喪服で統一することが多いです。

遺族として注意すべき点は、喪主よりも格式が上にならないように配慮することです。喪主が準喪服を着用している場合、他の遺族が正喪服を着用すると釣り合いが取れなくなるため、事前に喪主や他の遺族と服装について相談しておくと良いでしょう。また、遺族は葬儀の進行や参列者の対応で動き回ることが多いため、動きやすさも考慮に入れて服装を選ぶことが大切です。女性の場合、ヒールが高すぎる靴や窮屈な服装は避け、長時間着用しても疲れにくいものを選びましょう。男性も、サイズの合ったスーツを着用し、清潔感のある身だしなみを整えることが重要です。

家族葬の参列者の服装と年齢別マナー

家族葬に参列する立場の方は、喪主や遺族よりも控えめで、かつ礼節を守った服装を選ぶことが求められます。参列者の服装マナーは、基本的には一般の葬儀と同じですが、家族葬ならではの配慮も必要です。ここでは、男性・女性・子どもや学生それぞれの立場に応じた具体的な服装例と、身だしなみのポイントについて詳しく解説します。年齢や性別に応じた適切な服装を理解し、安心して参列できるようにしましょう。

男性参列者の服装と身だしなみ

男性の参列者は、準喪服である黒無地のシングルまたはダブルのスーツを着用するのが基本です。スーツは黒無地で光沢のない素材を選び、シャツは白無地のレギュラーカラー、ネクタイは黒無地で結び目はシンプルにまとめます。ワイシャツのボタンダウンやカラーシャツは避け、カフスボタンも使用しません。ベルトは黒の革製で、金具が目立たないシンプルなものを選びます。

靴は黒の革靴で、内羽根式のストレートチップまたはプレーントゥが最も格式が高く適しています。外羽根式やローファー、スエード素材は避けましょう。靴下も黒無地で、肌が見えないよう丈の長いものを選びます。アクセサリーは結婚指輪のみとし、腕時計は外すか、つける場合は黒の革ベルトでシンプルなデザインのものを選びます。ネクタイピンやカフスボタン、ポケットチーフなどの装飾品は使用しません。髪型は整髪料で整え、清潔感のある短髪が望ましく、ひげは剃り、爪も短く切り揃えます。香水や強い香りの整髪料は避け、全体として控えめで品のある身だしなみを心がけましょう。

女性参列者の服装と身だしなみ

女性の参列者は、黒無地のアンサンブル、ワンピース、パンツスーツを選ぶのが基本です。スカート丈は膝が隠れる程度の長さで、夏場の袖は半袖または五分袖、七分袖が適しており、ノースリーブは避けて必ずジャケットやボレロを羽織ります。素材は光沢のないマットなものを選び、レースや透け感のある素材、派手な装飾は避けます。胸元が大きく開いたデザインや体のラインが強調されるタイトすぎる服装も不適切です。

ストッキングは黒無地で、透けすぎない30デニール程度のものを選びます。肌色やラメ入り、柄物のストッキングは避けましょう。靴は黒のパンプスで、ヒールは3〜5cm程度の低めで太めのものが歩きやすく、長時間の葬儀にも適しています。つま先が開いたオープントゥやミュール、サンダル、ブーツは避けます。バッグは黒の布製で、光沢や金具のないシンプルなデザインを選び、A4サイズ程度の大きさがあると便利です。アクセサリーは結婚指輪と一連の真珠または黒曜石のネックレス、イヤリングのみとし、二連以上のネックレスは「不幸が重なる」という意味合いから避けます。髪型は黒のヘアゴムやピンでまとめ、派手な髪飾りは使用しません。メイクはナチュラルで控えめにし、ネイルは透明かベージュ系、派手なネイルアートは避け、香水も使用しないようにしましょう。

子どもや学生の服装

子どもや学生が家族葬に参列する場合、制服がある学校に通っているのであれば、制服が正式な喪服として認められます。制服のブレザー、シャツ、スカートまたはズボン、校章付きのネクタイやリボンをそのまま着用し、靴下や靴も学校指定のものを使用します。制服がない場合や幼児の場合は、黒や紺、グレーなどの地味な色の服装を選びます。男の子はブレザーやジャケットに白シャツ、黒や紺のズボンを合わせ、靴は黒の革靴またはスニーカーでも構いません。女の子はブレザーやワンピース、ブラウスとスカートの組み合わせで、色は黒や紺、グレーを選び、靴は黒の革靴またはスニーカーが適しています。

乳幼児の場合は、白や黒、紺などの無地の服を選び、派手な柄やキャラクターものは避けます。赤ちゃんの場合は、必ずしも黒にこだわる必要はなく、白やベージュなどの落ち着いた色でも問題ありません。子どもの靴下は白または黒で、靴もできるだけシンプルなデザインを選びましょう。髪型は清潔に整え、派手な髪飾りやアクセサリーは避けます。子どもは動き回ることも多いため、窮屈すぎない動きやすい服装を選ぶことも大切です。また、季節に応じて上着や防寒具を用意し、葬儀中に寒さや暑さで体調を崩さないよう配慮しましょう。

喪服がない時とカジュアル指定の服装

急な訃報で喪服を用意できない場合や、遺族から「カジュアルな服装で」と指定された場合、どのような服装を選ぶべきか迷う方も多いでしょう。家族葬では柔軟な対応が許される場合もありますが、それでも故人への敬意を示すために最低限のマナーは守る必要があります。ここでは、喪服が用意できないときの代替案や、カジュアル指定があった場合の具体的な服装例、そして避けるべき服装について詳しく解説します。

喪服が用意できないときの代替案

急な訃報で喪服が用意できない場合や、遠方にいて持参できない場合でも、できるだけ黒または濃紺のスーツやワンピースを選ぶことが大切です。男性は黒または濃紺のビジネススーツに白シャツ、黒または地味な色のネクタイを合わせ、靴と靴下は黒を選びます。完全な喪服でなくても、色味を抑えた服装であれば失礼にはなりません。ストライプなど柄が入っている場合は、できるだけ目立たないものを選び、派手な色や柄は避けましょう。

女性も同様に、黒または濃紺のスーツ、ワンピース、パンツスーツを選びます。素材は光沢のないマットなものが望ましく、スカート丈は膝が隠れる程度の長さにします。ストッキングは黒無地、靴は黒のパンプスを合わせます。手元に適切な服装がない場合は、レンタル衣装店や葬儀社でも喪服をレンタルできるサービスがありますので、時間に余裕があれば利用を検討しましょう。また、デパートやスーツ量販店では即日仕上げの喪服も販売されているため、急ぎの場合でも購入が可能です。いずれにしても、清潔感があり、控えめで落ち着いた印象を与える服装を心がけることが重要です。

カジュアル指定の具体例と注意点

遺族から「カジュアルな服装で」と指定された場合でも、普段着のような完全なカジュアル服装は避けるべきです。カジュアル指定の場合でも、黒や紺、グレーなどの地味な色のシンプルな服装を選び、清潔感と品位を保つことが大切です。男性であれば、黒や紺のジャケットにスラックスを合わせるスタイルでも良いですが、ジーンズやTシャツ、短パンは避けます。靴は黒または紺の革靴またはシンプルなスニーカーが適しています。

女性の場合は、黒や紺のシンプルなブラウスにパンツやスカートを合わせるスタイルが適切です。ワンピースでも構いませんが、派手な柄や明るい色、露出の多いデザインは避けましょう。靴は黒のパンプスまたはシンプルなフラットシューズを選びます。カジュアル指定であっても、アクセサリーは控えめにし、派手なメイクやネイルは避けます。遺族が「カジュアルで」と言う背景には、参列者に気を遣わせたくないという配慮がありますが、それでも最低限の礼節を守り、故人を偲ぶ場にふさわしい服装を選ぶことが重要です。迷った場合は、やや正装寄りの服装を選ぶ方が無難でしょう。

避けるべき服装と色柄のポイント

家族葬であっても、避けるべき服装のルールは一般の葬儀と同じです。まず、色については黒や濃紺、ダークグレー以外の明るい色は避けます。白、赤、ピンク、黄色、オレンジなどの明るい色や派手な色は、故人を偲ぶ場にふさわしくありません。柄については、大きな柄や目立つ柄、チェック、ストライプ、花柄、動物柄などは避け、無地またはごく控えめな織り柄までが許容範囲です。光沢のある素材、エナメル、サテン、ベルベットなどの華やかな素材も避け、マットで落ち着いた質感の素材を選びます。

デザインについても注意が必要です。露出の多い服装、胸元が大きく開いたもの、ミニスカート、ノースリーブ、オフショルダーなどは不適切です。また、体のラインを強調するタイトすぎる服装や、逆にだぼだぼのオーバーサイズも避けましょう。靴については、つま先が開いたオープントゥ、サンダル、ミュール、ブーツ、スニーカー(カジュアル指定以外)は避けます。アクセサリーも派手なものや大ぶりのもの、ゴールドやシルバーの光るものは避け、真珠や黒曜石などの控えめなものに限定します。バッグや靴に金具や装飾が多くついているものも避け、シンプルで品のあるデザインを選びましょう。これらのポイントを守ることで、故人への敬意を表し、遺族に対しても失礼のない服装で参列することができます。

季節や宗教で変わる家族葬の服装

家族葬の服装マナーは、季節や宗教によっても配慮すべきポイントが変わってきます。夏の暑い時期や冬の寒い時期には、喪服の基本マナーを守りながらも体調管理ができる服装選びが必要です。また、仏教、神道、キリスト教など宗教によって葬儀の形式や服装の考え方にも違いがあります。ここでは、季節ごとの実務的な注意点と、宗教別の服装のポイントについて詳しく解説します。

夏と冬の服装の実務的な注意点

夏の暑い時期の家族葬では、熱中症対策も考慮しながら喪服を選ぶ必要があります。男性は薄手の黒無地スーツを選び、通気性の良い素材や吸湿速乾性のある裏地のものを選ぶと快適に過ごせます。ただし、透け感のある素材は避け、白シャツの下に肌着を着用して透けないようにします。ネクタイは必ず着用し、上着は式場に入るまでは脱いでも構いませんが、式場内では着用します。女性も薄手の黒無地のワンピースやアンサンブルを選び、袖は半袖または五分袖が適切です。ノースリーブは避け、必ずジャケットやボレロを羽織ります。ストッキングは夏用の薄手のものでも良いですが、黒無地を守りましょう。

冬の寒い時期には、防寒対策をしながらも喪服のマナーを守ることが大切です。男性はスーツの下に黒または白の肌着を着用し、コートは黒や紺、グレーなどの地味な色のものを選びます。ダウンジャケットやカジュアルなジャンパーは避け、チェスターコートやステンカラーコートなどのフォーマルなデザインを選びます。女性もインナーに保温性のあるものを着用し、ストッキングは厚手でも構いませんが黒無地を守ります。コートは男性と同様に黒や紺、グレーのフォーマルなデザインを選び、ファー付きのものは避けます。マフラーや手袋も黒または地味な色を選び、式場内では脱ぐのがマナーです。また、靴は冬用のブーツではなく、黒のパンプスや革靴を着用しましょう。

宗教別の服装のポイント

仏教の家族葬では、一般的な喪服マナーがそのまま適用されます。男性は黒無地のスーツ、女性は黒無地のアンサンブルやワンピースを着用し、数珠を持参するのが基本です。数珠は宗派によって種類が異なりますが、略式の数珠であればどの宗派でも使用できます。神道の神葬祭では、基本的な服装は仏教と同じですが、数珠は使用せず、玉串を捧げる際には両手を清潔にしておくことが重要です。神道では神聖さを重んじるため、服装も清潔で整った印象を与えることが大切です。

キリスト教の葬儀では、カトリックとプロテスタントで若干の違いがありますが、服装の基本は同じです。男性は黒無地のスーツ、女性は黒無地のワンピースやスーツを着用します。また、十字架のペンダントを身に着けることは問題ありませんが、派手なデザインは避け、シンプルなものを選びます。数珠は仏教の道具なので持参しません。無宗教の葬儀やお別れ会の場合も、基本的には一般的な喪服マナーを守りますが、遺族の意向によってはよりカジュアルな服装が許される場合もあります。いずれの宗教の葬儀でも、事前に遺族や葬儀社に確認し、その場にふさわしい服装を選ぶことが大切です。

家族葬の身だしなみと小物

家族葬における身だしなみは、服装そのものだけでなく、靴やバッグ、アクセサリー、メイク、髪型など細部にまで気を配ることが求められます。これらの小物や身だしなみが不適切だと、せっかく適切な喪服を着用していても全体の印象が損なわれてしまいます。ここでは、家族葬にふさわしい靴やバッグの選び方、アクセサリーやメイクのマナー、そして持参すべき必須アイテムについて詳しく解説します。

靴とバッグの選び方

靴とバッグは、服装と同じくらい重要な身だしなみのポイントです。男性の靴は、黒の革靴で内羽根式のストレートチップまたはプレーントゥが最も格式が高く適しています。靴は金具や装飾のないシンプルなデザインを選び、エナメルなど光沢のある素材やスエード素材は避けます。ローファーや外羽根式の靴はカジュアルな印象になるため、できるだけ避けましょう。靴下は黒無地で、座ったときに肌が見えないよう丈の長いものを選びます。靴は事前に磨いておき、清潔な状態で参列することが大切です。

女性の靴は、黒のパンプスでヒールは3〜5cm程度の低めで太めのものが適しています。ヒールが高すぎると歩きにくく、長時間の葬儀では疲れやすくなるため、安定感のあるデザインを選びましょう。つま先が開いたオープントゥ、ミュール、サンダル、ブーツは避けます。金具や装飾のないシンプルなデザインを選び、エナメルなど光沢のある素材も避けます。バッグは男女ともに黒の布製で、金具や装飾のないシンプルなデザインが基本です。A4サイズ程度の大きさがあると、香典や数珠、ハンカチなどを入れるのに便利です。ブランドロゴが目立つものや、革製のバッグは避け、布製のフォーマルバッグを選びましょう。

アクセサリーとメイクのマナー

家族葬におけるアクセサリーは、基本的には結婚指輪のみとするのが最も無難です。女性の場合は、一連の真珠または黒曜石のネックレスとイヤリング(ピアス)は許容されます。真珠のネックレスは一連のみとし、二連以上は「不幸が重なる」という意味合いから避けるのがマナーです。パールの大きさは7〜8mm程度が適切で、大きすぎるものや派手なデザインは避けます。金やプラチナなど光るアクセサリー、色石のついたもの、ブレスレット、ブローチなどは避けましょう。腕時計も外すか、つける場合は黒の革ベルトでシンプルなデザインのものを選びます。

メイクは控えめでナチュラルに仕上げることが基本です。ファンデーションは薄めに、アイシャドウはブラウンやグレーなどの落ち着いた色を選び、ラメやパールの入ったものは避けます。マスカラやアイライナーも控えめにし、派手なつけまつげは使用しません。リップは薄いピンクやベージュなど控えめな色を選び、赤やオレンジなどの派手な色は避けます。チークも薄めにするかつけない方が良いでしょう。ネイルは透明またはベージュ系で、派手なネイルアートやジェルネイルは避け、長すぎる爪は短く切り揃えます。香水は使用せず、整髪料やボディクリームなども無香料のものを選びます。髪型は黒のヘアゴムやピンでまとめ、派手な髪飾りやシュシュは使用しません。前髪が長い場合はピンで留め、清潔感のある印象を心がけましょう。

持参すべき必須アイテム

家族葬に参列する際には、服装だけでなく持ち物にも注意が必要です。まず必須となるのが香典です。香典は新札を避け、袱紗に包んで持参します。袱紗の色は紫、紺、グレーなどの地味な色を選び、赤やピンクなどの明るい色は避けます。数珠は仏教の葬儀で使用する大切な持ち物で、宗派によって種類が異なりますが、略式の数珠であればどの宗派でも使用できます。数珠は自分専用のものを用意し、他人と貸し借りしないのがマナーです。

ハンカチは白または黒の無地を用意し、派手な柄や色のものは避けます。白のハンカチに黒の縁取りがあるものも適しています。冬場は黒の手袋を持参すると良いですが、式場内では外します。バッグには予備のストッキングやハンカチ、ティッシュなども入れておくと安心です。また、葬儀場によっては受付で記帳する場合があるため、黒のボールペンや万年筆を持参しておくと便利です。携帯電話やスマートフォンは必ずマナーモードまたは電源を切り、式中は使用しないようにします。財布や鍵などの貴重品は最小限にし、すべて黒のバッグに収まるようにまとめましょう。

まとめ

家族葬の服装マナーは、基本的には一般の葬儀と同じく喪服が推奨され、故人への敬意と遺族への配慮を服装で表現することが大切です。喪主や親族は正喪服または準喪服を着用し、参列者は準喪服を選ぶのが一般的で、男性は黒無地のスーツに白シャツと黒ネクタイ、女性は黒無地のアンサンブルやワンピースに黒のストッキングと黒のパンプスを合わせます。平服指定があった場合でも、カジュアルすぎる服装は避け、黒や濃紺などの地味な色の服装を選ぶことが重要です。

子どもや学生は制服があれば制服を着用し、ない場合は黒や紺のシンプルな服装を選びます。季節に応じた防寒対策や暑さ対策も必要で、コートや上着は黒や紺などフォーマルなものを選びましょう。宗教によって服装の考え方に若干の違いがあるため、仏教では数珠を持参し、神道では数珠は不要、キリスト教では十字架のペンダントが許容されるなど、事前に確認しておくと安心です。

靴やバッグ、アクセサリー、メイク、髪型など細部にまで気を配り、全体として控えめで清潔感のある身だしなみを整えることが大切です。持ち物は香典、袱紗、数珠、ハンカチ、バッグなどを忘れずに準備し、携帯電話はマナーモードにします。この記事で紹介した服装マナーを参考に、自分の立場に合った適切な服装を選び、安心して家族葬に参列してください。

家族葬の服装マナーを理解することで、安心して参列できるだけでなく、遺族として葬儀を執り行う際の準備にも役立ちます。服装以外にも、葬儀全体について事前に準備しておくことが大切です。特に葬儀費用の不安解消と安心できる葬儀の実現には、明確な料金体系と充実したサポート体制の両立が求められます。ちゃんとしたお葬式では、必要なものが全て含まれた定額プランをご用意しており、参列者によって変動するおもてなし費用や式場利用料以外には、追加料金を一切かけずにお葬式ができます。大切な方とのお別れを心穏やかに迎えられるよう、明瞭な料金でご家族に寄り添います。葬儀に関するご相談は、こちらから無料でお問い合わせいただけます。